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2021年流行語発表の真相|大谷翔平二刀流と格差が生んだ世相総括

言ノ葉 あかり 言ノ葉 あかり • 更新: • 公開: • 読了約 16 分
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2021年12月1日、年末の恒例行事である「現代用語の基礎知識選 2021ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞およびトップテンが都内で発表されました。長引く新型コロナウイルスの感染拡大と度重なる緊急事態宣言、そして賛否が真っ二つに割れた東京五輪の無観客開催など、日本全体が重苦しい閉塞感と分断に包まれていたあの年。発表の場でスポットライトを浴びたのは、暗雲を切り裂くようなスーパースターの快挙と、人々の心の内側に鬱屈していた叫びでした。

年間大賞に選ばれた大谷翔平選手の「リアル二刀流/ショータイム」を筆頭に、SNSを中心に激しい賛否両論を巻き起こした「親ガチャ」や「うっせぇわ」まで、選出された言葉はいずれも当時の日本社会をありのままに映し出しています。当時の選考理由やメディア報道の現場、そしてネット空間で巻き起こった熱狂と軋轢の真相を克明に振り返ります。

【2021年流行語発表】年間大賞はなぜ大谷翔平「リアル二刀流」だったのか

流行語2021発表

2021年12月1日に執り行われた表彰式において、2021年流行語大賞年間大賞に輝いたのは、ロサンゼルス・エンゼルスで規格外の活躍を見せた大谷翔平選手を称える大谷翔平リアル二刀流ショータイムでした。選考委員会メンバーであるやくみつる氏や室井滋氏らが列席する中、司会の宮本隆治氏によって発表された瞬間、会場だけでなく日本中のメディアが「これ以外の選出はあり得なかった」と一斉に報じました。

選考理由の根底にあったのは、暗いニュースに覆い尽くされていた日本社会を救った圧倒的なポジティブエネルギーです。2021年シーズン、大谷選手は打者として46本塁打・100打点・26盗塁、投手として9勝2敗・156奪三振・防御率3.18という、ベーブ・ルース以来およそ100年ぶりとなる歴史的偉業を達成しました。現地中継の実況アナウンサーが放った「It's showtime!」のフレーズとともに、朝のニュース番組をつければ必ず大谷選手の笑顔と特大アーチが流れる日常は、コロナ禍で疲弊していた国民にとって最大の精神的支柱となっていました。

当時の記者会見や授賞コメントにおいて、選考委員会は「誰も見たことがない前人未到の境地を切り開き、閉塞感に苛まれていた日本中に純粋な勇気と活力を与えてくれた」と絶賛。日本テレビやNHK、日刊スポーツなど報道各社も、MLB史上初の満票ア・リーグMVP受賞の熱気が冷めやらぬタイミングでの選出を「文句なしの満場一致」と総括しました。

トップテン一覧とノミネート30語データ|コロナと五輪が交錯した世相

2021年11月4日に発表された流行語2021ノミネート30語を俯瞰すると、全体の約半数を「新型コロナウイルス」と「東京2020オリンピック・パラリンピック」関連の用語が占めていました。「副反応」「人流」「自宅療養」「変異株」「黙食」といった医療・生活制限用語が並ぶ一方で、開催を巡って国論を二分した東京五輪からは「13歳、真夏の大冒険」「ピクトグラム」「スギムライジング」「チャタンヤラクーサンクー」などが選出され、極端な緊張と熱狂のコントラストを描き出しました。

その中から絞り込まれた流行語大賞2021トップテン一覧と各指標の相関は、以下の通りです。

選出ワード 受賞者・発信元 社会的背景・反響の規模 編集部の世相分析
リアル二刀流/ショータイム(年間大賞) 大谷翔平 MLB満票MVP、本塁打王争い 国民的祝祭感の象徴。文句なしの満場一致。
うっせぇわ Ado / syudou YouTube再生2億回超、社会現象化 大人社会の理不尽に対する若者の痛快な反乱。
親ガチャ 発信者なし(ネットスラング) SNS拡散、国会や論壇で大論争 格差社会の固定化と決定論的諦念の象徴。
ゴン攻め/ビッタビタ 瀬尻稜(プロスケートボーダー) 五輪中継の解説でトレンド1位 従来の硬直したスポーツ実況を覆す自然体。
ジェンダー平等 芳野友子(連合会長)ほか 森喜朗氏の失言辞任、女性登用加速 五輪組織委の騒動を契機に企業・政界へ波及。
人流 寺岡伸章(ナビタイムジャパン) 緊急事態宣言下での主要指標 人々の移動や生活そのものが数値管理された時代。
スギムライジング 杉村英孝(ボッチャ金メダリスト) 東京パラリンピックの神業ショット パラスポーツの高度な戦略性と魅力を周知。
Z世代 SHIBUYA109 lab. ほか マーケティング・メディアで頻出 デジタルネイティブの新価値観が主役に浮上。
ぼったくり男爵 該当者なし(海外メディア呼称) IOCバッハ会長に対する批判的愛称 商業主義五輪への強い反発と風刺の結実。
黙食 マサラキッチン(福岡市のカレー店) 飲食店・学校給食での新様式マナー 感染防止と飲食業の存続を模索した涙ぐましい工夫。

ノミネート30語の段階では、五輪開会式のドローン演出やパントマイムで話題をさらったピクトグラム東京五輪流行語や、スケートボード女子パークで西矢椛選手の実況から生まれた「13歳、真夏の大冒険」も熱烈な支持を集めていました。しかし、最終的なトップテンでは「光」だけでなく、国民が強いられた我慢や不満を反映した「影」の言葉もしっかりと残す選考となりました。

「親ガチャ」「うっせぇわ」の衝撃|選考理由とネットの猛反発

トップテンの中で最も激しい議論を巻き起こしたのが、ネットスラングから定着した「親ガチャ」と、女子高生シンガーAdoのメジャーデビュー曲から生まれた「うっせぇわ」の2語でした。

「うっせぇわ」が可視化した既存社会への反逆

うっせぇわ流行語選考理由について選考委員会は、「大人の理不尽なルールや社会の息苦しさに抑圧されていた若者の感情を、ストレートかつ攻撃的な歌詞で解放した」と分析しました。当時まだ10代だったAdoの圧倒的な歌唱表現と、「あなたが思うより健康です」「一切合切凡庸なあなたじゃ分からないかもね」というフレーズは、小学生から社会人まで幅広い世代に波及。

一方で、教育現場や保護者の間では「子どもが親に向かって『うっせぇわ』と叫ぶようになった」「言葉遣いが乱れる」といった懸念の声が噴出。テレビのワイドショーでも連日のように教育的影響が議論されましたが、この摩擦そのものが、昭和・平成的な抑圧構造に対する若者世代の反逆であることを証明していました。

「親ガチャ」を巡るネットと論壇の分断

さらに激甚なリアクションを引き起こしたのが「親ガチャ」の入選です。親ガチャ流行語大賞ネットの反応を検証すると、Twitter(現X)や5ちゃんねる、Yahoo!ニュースのコメント欄では真っ二つの対立が起きていました。

若年層や当事者層からは、「生まれ育った環境や経済力で進学先も人生の選択肢も決まってしまう現実を、これ以上ない精度で言い当てた」「本人の努力不足として片付けてきた社会への痛烈な皮肉」と圧倒的な共感が寄せられました。対して、親世代や保守的な知識人、一部の政治家からは「親をソーシャルゲームのアイテムのように扱うとは不謹慎」「努力を放棄するための言い訳に過ぎない」という猛烈な批判が浴びせられました。

この反発に対し、社会学者らは「言葉そのものを叩く大人の姿こそが、若者が親ガチャという言葉を使わざるを得ない絶望的な格差構造を理解していない証拠」と反論。単なるスラングを超え、日本における相対的貧困や教育格差の固定化を白日の下に晒す歴史的キーワードとなりました。

スケボー解説の革命「ゴン攻め・ビッタビタ」誕生の経緯

東京五輪が生んだ最も痛快な流行語といえば、スケートボード競技で解説を務めたプロスケーター・瀬尻稜氏によるゴン攻めビッタビタ意味経緯を語らずにはいられません。

「ゴン攻め」とは「ガンガン攻める、限界までアグレッシブに攻める姿勢」を指し、「ビッタビタ」とは「狙ったラインや着地にミリ単位の狂いもなくピタッとハマる完璧な状態」を意味するスケーター用語です。NHKの五輪中継という極めて格式高い公共放送の舞台で、実況の倉田大誠アナウンサーが発する実況に対し、瀬尻氏は「いや〜、ヤバいっすね」「ゴン攻めしてますね〜」「ビッタビタにハメてきましたね」と、まるでストリートの仲間同士で会話しているかのような語り口で応じました。

当初は「NHKの中継にふさわしくないのではないか」という一部の懸念もありましたが、倉田アナウンサーがその言葉を否定せず「ゴン攻め、出ましたね!」「ビッタビタとはどういう意味でしょうか?」と丁寧に拾い上げて視聴者に翻訳したことで、中継そのものがエンターテインメントへと昇華。SNSでは瞬く間にトレンド1位を獲得し、無観客で冷え切っていた五輪の空気を一気にストリートカルチャーの熱気で塗り替える快挙となりました。

新語・流行語大賞の選考委員批判と「歴代の傾向」から見る課題

毎年12月にユーキャン新語流行語大賞2021が発表されるたびに再燃するのが、新語流行語大賞選考委員批判理由です。この年においても、ネット空間では選考結果に対する強い不信感が表明されました。

批判の主眼は以下の2点に集約されます。

  • 政治的・イデオロギー的な偏り:「ぼったくり男爵」や「ジェンダー平等」など、主催側や選考委員が持つ特定の政治的メッセージ性を帯びた言葉が優先してトップテン入りしているのではないかという疑念。
  • 実態世論・若者文化との乖離:当時SNS上で爆発的に使用されていた言葉よりも、既存の大手新聞やテレビの社説が好む言葉が選ばれる傾向が強いという指摘。

実際、当時のZ世代流行語ランキング2021(SHIBUYA109 lab.やマイナビティーンズ等による調査)と比較すると、若者の間で日常的に飛び交っていた「きまZ(気まずい)」「はにゃ?」「超人見知り」「勝たんしか」「イカゲーム」といった言葉は、ノミネート30語の段階でほとんど無視されるか、トップテンには残らないという明確なギャップが存在していました。

流行語大賞歴代一覧まとめを紐解いても、過去には1990年代の「同情するなら金をくれ」、2000年代の「小泉劇場」「政権交代」、2010年代の「保育園落ちた日本死ね」など、常に選考を巡る炎上や議論が繰り返されてきました。しかし、この「選考への違和感」がSNSで拡散され、侃々諤々の論争を引き起こすこと自体が、新語・流行語大賞というプラットフォームが持つ最大のメディア的磁力であることもまた事実です。

【プロの結論】「親ガチャ」と「二刀流」が示した心理的バウンダリーの教訓

2021年の選考結果を家族社会学および心理学の視点から分析すると、きわめて興味深い教訓が浮かび上がります。

「親ガチャ」という言葉の流行は、昭和・平成型の「親の期待を背負って生きる子ども」や「ステージママ文化」に代表される母娘・家族の共依存関係に対して、子どもたちが「自分と親は別の人間であり、環境の限界を個人の努力不足とすり替えないでほしい」という心理的バウンダリー(健全な境界線)を引き直そうとした防衛反応でした。自らの力ではどうにもならない初期設定を冷静に切り離すことで、メンタルの崩壊を防ごうとした心理的メカニズムです。

一方で、大谷翔平選手の「リアル二刀流」は、日本球界時代から浴びせられ続けた「プロで二刀流など通用するはずがない」「どちらか一本に絞るべきだ」という外野の批判や既存の常識を、自分自身の境界線を守り抜いて無力化し、圧倒的な努力で突破した究極の姿でした。環境に縛られる絶望を語る「親ガチャ」と、常識の枠組みを実力で打ち破る「二刀流」。この2つの言葉が同時にトップテンに並んだことこそ、2021年という時代の抱える苦悩と救済の本質でした。

【流行語 2021 発表】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:2021年の新語・流行語大賞の「年間大賞」は何でしたか?
A1:ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手に関連する「リアル二刀流/ショータイム」が年間大賞を受賞しました。MLBでの歴史的な投打両面での大活躍が、コロナ禍の日本に大きな勇気を与えたことが高く評価されました。

Q2:ノミネート30語にはどのような特徴がありましたか?
A2:30語中、約半数が「新型コロナウイルス」関連(副反応、人流、変異株、黙食など)と「東京五輪・パラリンピック」関連(13歳真夏の大冒険、ゴン攻め、ピクトグラムなど)で占められており、当時の特殊な世相を如実に反映していました。

Q3:「親ガチャ」がトップテンに選ばれた際、なぜ批判や論争が起きたのですか?
A3:ソーシャルゲームの確率システムを親子関係に当てはめた表現に対し、大人世代から「親をアイテム扱いするのは不謹慎」「努力を放棄している」といった批判が出たためです。一方で、格差固定化に苦しむ若者からは絶大な共感を集め、国会やメディアでも大論争に発展しました。

2021年の流行語発表は、東京五輪の祝祭とコロナ禍の規制生活という、極端な日常の狭間で人々が何を思い、何に救いを求めていたのかを雄弁に物語っています。

大谷翔平選手がグラウンドで見せた笑顔と圧倒的な結果は、息の詰まる閉塞感の中で私たちが最も求めていた「純粋な希望」でした。同時に選ばれた「親ガチャ」や「うっせぇわ」は、社会の不条理に対する防衛本能と怒りの叫びであり、決して無視してはならない国民のリアルな体温でした。言葉は単なる流行の記録にとどまらず、その時代を懸命に生きた人々の心理を永遠に保存する鏡として、これからも機能し続けていきます。

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